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某研修病院にお邪魔してみた

日本への一時帰国の慣例となりつつあるが、某研修病院に今回も3日間ほどお邪魔した。

自分が研修をしていた数年前は、まだ内科や救急に人もいて良かった時代だったようだが、最近では大分人も流動的で、以前ほどの勢いはなくなったと噂で聞いていた。

ただ、2年前にお邪魔した時は、チーフレジデントが生き生きと頑張って教育している感じが伝わって悪い印象はなかった。

今回はというと、印象は大分下方修正された。

研修医は疲弊しきっており、仕事の効率も悪く、そのためプレゼンの準備をしたり自分で患者について知らないことを勉強したりする時間が全く取れておらず、思考する力も全然という状態だった。

現在はアメリカの医学部1−4年生の教育に関わることも増えて、どうしても比較してしまう自分がいたが、アメリカの2年生でももっとアセスメントできるかもしれない(まず3年生には及ばない)、なぜこんな状況になるのか愕然とした。

医学部で何を学んできたのか?
ここの1ヶ月で何か学んだのか?

おそらく両方共に問題を抱えているように思えてならなかった。

病棟の回診は見なかったのでコメントできないが、少なくとも朝夕の引き継ぎで、新患についてプレゼンのチャンスがあり、指導医やチーフレジデントから指導を受けられるが、基本というか全てがPimpingであり(単に知っているかどうか知識を問うだけの質問)、できていないこと・漏れていることへの叱咤であった。

成人学習理論の面からも、明らかに効果の最も薄い指導を行っていることに幻滅した(Bloom's taxonomyでいうと一番下ばかりの問答しかなかった)。

その上、指導医も、できない研修医に対してイライラしているか、もしくは楽しく教えてはいない雰囲気だったので、それが輪をかけて研修医の学習を妨げているようだった(Safe learning environmentでないと学習効果は薄い)。

アメリカでは、Pimpingはまだ使われることがあるが、メインの指導法ではない。基本的には本人の考えを聞き、引き出し、そこから他の鑑別について聞いたり、病態生理との関連の話に持っていって議論するなりしている。

自分の目が肥え過ぎたのかと1日目は錯覚したが、3日目には、完全にその病院の研修が病魔に犯されていることが原因だと感じた。

これまでは卒後研修病院ならどこも変わらないだろうとタカをくくっていたが、今回の経験は将来働く病院はちゃんと決めた方が良いという警告となった。

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