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QIにおける瀬戸際外交

あんまりいい思い出はないが、不思議と学ぶことの多いQI(Quality Improvement)

自分たちが日々診療で行なっていることで

まずい習慣がある時、不便な時、患者のアウトカムが悪い時に

Quality Improvementという話が出てくる

ただアメリカにおいても人は変化に弱く、変化に抗おうとする
自分だって、正しいことをやるために仕事量を増やされ続けたらたまったものではない

今の大学病院の電カル(EPIC)は
各病院が好きなようにカスタマイズできるので
病院のIT部門の人が
頻繁に機能を追加しており(医療従事者からのアイデアでもって)

あまりにアラートが増え過ぎている
薬をオーダする時にも
しょっちゅうアラートが出てくるので
ほぼ全ての医師は「アラート疲れ」を起こして
内容を確認せずに「確認して進む」ボタンを押していることだろう

そこで、同じことをやろうとしている自分も
QIをやるにあたって
重要な関係者(ステークホルダー)と話し合いや交渉を行って
どこまでの機能追加が技術的、マンパワー的に可能か
どこまでの機能追加なら各部署からの同意が得られるのかを
探っていく必要がある

そしてその過程で
提案した内容がガラリと変わったり
ある時により良いアイデアに行き着いたり
するわけだが

自分の場合、影響を受ける部署が多いため
最後の最後で
「受け入れられない」
と案が突然潰されてしまう可能性も十分ある

こないだも、循環器科の若手指導医が長く取り組んでいた
とても素晴らしい取り組みは
最終段階であった
病院のリーダーシップからの同意を得るところで頓挫し
彼の努力は無になったらしい

これが病院上層部、例えば病院長、診療部長、、課長レベルからの指示でやる場合は
できるかどうかだけが問題であって
できるけど科内の反対が強いからできない、というのは許されないので
話が全く違うのだが

最近も、突然身内が心配しだし、自分の案が潰されそうになったが
事情を説明した上で「最初からこの話はあったけど?」と強気なメールを送って
ほっといたら首の皮一枚繋がった

かれこれ8ヶ月くらい
このいつ割れるか分からない氷の上を歩くような瀬戸際外交は
無事に終わるのか、無残にも潰されるのか
それともあと一年で終わりすらしないのか

この病院には過剰な期待をしてはいけないのはもう理解しているので
自分がその過程で学ぶことがあり続ける限り良しとしよう

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