スキップしてメイン コンテンツに移動

出た!私関係ない病

アメリカ、特にニューヨークの病院内外かかわらず
よく見た、聞いた、経験したこと

「私には関係ない」病

病院でも役割・縄張りがきっちり決まっており
というか
個々人が勝手に思いこんでいる場合も含めて
役割がきっちり決まっており

自分の仕事の範疇じゃないとみるやいなや
「ほかの人に聞いて」
「関係ない」
「自分がやる必要はない」

多職種が一人の患者に関わる場合
この対応だと

とケアがちぐはぐになり患者が不利益を被るのは当然の結末だが
それが現実な場合もあったような
なかったような

たとえ自分があるタスクをこなす能力があるとわかっていても
周りが自分の役職(レジデント)以上のことだと思えば
当然断固阻止されていた

そのような環境で働いていると
自分自身、周りがやっている仕事の範囲以上のことは
やらないようになったし

実際、退院してすぐの患者が当日に
病棟に新しい処方箋やら要求してきたときに
「一度退院するともう僕ができることは限られているので、プライマリケアに電話してください」
ほかの人がやっているのを模倣したことがあったような
なかったような

これも周りがそうやっているからと
自分も勝手にルールだと思って作り上げた妄想だっただろう

自分としては根底にあるのは
許された範囲以上のことをやるのは責任が負えないから
という意味合いだったが
しかし、この考えやアプローチは
相手や第3者から見ると
「その人がどうなっても(責任とれないから)関係ない」
としか映らないのだ

最近久々に病棟で働いたが
私関係ない病にかかった人に出会って
「あー、出た!それそれ!懐かしい」
と思ってしまったので記録

病棟の患者に輸血がオーダーされていたが
血液製剤が届いたときは透析に行った直後だった
透析で体内の水を抜くので
せっかくなら4時間かかる透析中に輸血するのが
血液製剤からの余分な水分を血管に入れずに済むし
4時間の透析後に3-4時間の輸血を病棟でやるのも
ケアのプロセスを遅らせることになる

それに気づいていた病棟の看護師は
良かれと思って透析室に連絡し
担当していたチームの医学生から輸血の同意書をもらうも
医学生が渡したのは実は「透析カテーテル留置の手技の同意書」

同意書がないので輸血は無理と言われたので
週末カバーしていた自分に連絡がくる

とりあえず透析室内で同意書をとるため
透析室の看護師にWitness(必ず一人証人をつけないといけない)をお願いしたところ
「私たち透析看護師は透析室以外の病棟・病院のケアとは別離されているの」
「だからWitnessする資格がないわ」
と返事された。
彼女たちの具体的な契約内容は知らんが
IDにはしっかりRN、XX病院と書いてあるので
ライセンス的には問題なかった

透析中にどうしても輸血したい理由、患者への利益を説明したところ
「この患者がどうなっても私には関係ないわね」
とあっさり言い放ったので

おー、ここまではっきり言う人もめずらしい
と珍獣に出会ったような気分になった

そこで言い争っても何もいい結果を生まないので
「じゃぁ同意書取ったら速攻で輸血始めてね!」
と明るくお願いし
早々に病棟の看護師に連絡して同意書を取り
ちゃんと輸血して病棟に戻ったのを
あとで確認したので
1日最低一ついい仕事ができたと思う反面

もし看護師か医者のどちらかが「私関係ない」と言っていたら
輸血は病棟になっていただろうから
やっぱり危ういシステムだなと再確認

こういうほかの医者やチームのお尻をふくような仕事を
同僚たちはこぞって嫌っているのだが

何が患者のためになるのか、を念頭に働くようにシフトしただけで
うまくいったとき
特に患者がケアとケアのギャップに落ちるのを防いだときに
いい仕事したと思えるようになった

フェローシップで得たものは大きいと思いたい

コメント

このブログの人気の投稿

同僚がよくお世話になっているCureusというオープンアクセス・ジャーナル

Cureusに毎月のように同僚がケースレポートを出している件 「俺、この数か月で7つケースレポート出版した」 という信じられない言葉を耳にした時も「いや無理でしょ」と思ったが 同期の(主に外国人医師)同僚に頼まれ、とりあえず「レビューアー」だけやってみることに。 サイトからアカウントを作って、すぐに登録は無料で簡単♪ (注:宣伝ではありません) どうやら、論文執筆するか、レビューするかでポイントがたまるらしい。 インパクトファクターはないからとりあえず 戦闘力 みたいなものをつけてるのかしら? 一番、驚きなのは同期の人曰く、論文を提出した人がレビューアーを3人くらいまで「 指定 」できること。 普通レビューアーを編集者に「提案」することはあっても、「指定」はできない。  そして、さらに3-4人ほど、編集者から関係ないレビューアーへ依頼が行くらしい。 (自分がファースト・オーサーで使うことはよほどのことがないと使わなそうなので、ほんとかどうかは知らないし、同僚のためにも調べないことにした) でも、6-7人がレビューするうち、 約半分はフレンドリーなコメントが来る ってことだと想像している🙊 早速、2件ほどケースレポートのレビューを丁寧にしたが 1つは、30か所以上コメントする始末。突っ込みどころ満載。この人からはレビューアー評価★5もらえたが。 1つは、15か所ほど指摘。 どちらも症例自体はよいんだけれど、こんなの世に出してる場合じゃない。さすがに、これからはレビューアーとしては敬遠されるかな。 最近初めてCureusで症例報告を出版した同僚が言っていた 「 2-3日で審査が終わって、指摘されたところをアップデートしたらアクセプト、そのままオンラインで出版された 」  え?6-7人の審査がそんなに早く終わったの? と聞いたところ 全くコメントせずに提出するレビューアーも中にはいるらしい😱 なるほど、確かにレビューもとても簡単で、オンラインで直接文章にメモとして書き込めるようになっており、「SUBMIT」を押して、最後の総括コメントいれて終わり だから、そういう人が出てくるのも致し方ないか? だからそんな多くのレビューアーにお願いするのだろうと想像している レビューも学術

KY(ケンタッキー)州ドライバーズライセンス(運転免許)を取得

さてさてどっぷり5月病にはまってしまい、日記を書くこともおざなりになってしまっている今日この頃 最近ケンタッキー州の運転免許を取得したので記録 NY州で取得した免許をWI州に移すときは書類提出だけで済んだと記憶しているが KY州はビザ持ちの場合、書類、筆記試験、路上試験と一からやり直さなくては免許が取れない。つまり、免許の移行というものができないらしい。 6月まで使っていた臨床トレーニング用Jビザは、一年ごとの更新のため、運転免許証もビザの期限に合わせて期限が1年になっているのがつらいところ。 7月に引っ越してすぐにWI州の免許が期限切れで使えなくなってしまうのだ   そのため6月に日本に一時帰国した際に、地元の運転免許センターで国際免許証を取得しておいた 期限は一年間で、これでケンタッキー州の運転免許をとるまで1年間の猶予が与えられることになる 元J2の妻は、NYにいたときに就労許可証を取得していた経緯があったので(結局働くことはなかったが)、ソーシャルセキュリティナンバーを持っており あとは、仕事の契約書か給与明細と、電気やガス代などのUtility関係の請求書さえあれば申請可能な状態だった   ガスかなにかの請求書に妻と自分の名前を併記してもらうようにお願いし まつこと、、、 2か月、ようやく請求書が手元に届き   市の運転免許センターらしきところへ 受付窓口に並んでいると、アメリカ国民でなければ違う窓口でまずは書類審査をうけろと言われた(入口入ってすぐにあるドアから入る) 同じ建物内の、違うドアから入り、狭い待合室で待たされたのち なにか書類を持たされ、通常の受付へと通された そのあとはしばらく待った後に、筆記試験を受けてその日は終了 筆記試験は、一問解くごとに正解不正解が分かるようになっており、親切だったが 当日の朝に、ネットで練習問題を一度見ただけの知識では結構難しい問題も普通にあった 僕らは国際免許証を持っていたためかLearner Permitというものはもらえなかった 帰り際に路上試験の予約をしようとしたが、次の週までの予約しかとっておらず 後日電話にて予約をとった(なかなか電話にでてくれず苦労した) ジョークのような 路上試験 路上試験当日、

アメリカで言語療法(スピーチセラピー)と作業療法(オキュペイショナルセラピー)を受けるべきか

アメリカの健診で、子供の言葉の遅れを指摘された。セラピーを受けるべきか? 自分の身に起こったことだが 、言葉が遅れているからセラピーを勧められても、一人目の子供だと特にどうしたらいいか分からない。 結論としては、「とりあえず受けてみる」べきだと思う。 その時はマンハッタンに住んでいたので、家では日本語、デイケアにも入れる余裕はなく(週2で月1000どる越えとか今でも無理)英語を話す子供との触れ合いも少なく、言葉が遅れるのは半ば必然の状況でもあった。 しかし、小児科の先生も「バイリンガルの環境だと遅れることはよくあります」と事情を汲んだうえでセラピーの評価だけでも勧められたので 言われたように州が運営するBirth to threeに連絡。スムーズに手続きが進み(聴覚検査はやらされたか)、最初の言語聴覚士評価 に向かった。 若い言語聴覚士の人があの手この手で一緒に遊んでくれ、言葉を引き出していた。 こんな方法があったのか! といろいろな発見や学びがあったのに驚いた。普段遊んでいても出さないような音を真似して発していた。  そして評価が終わってセッションが始まる前にWI州に引っ越し WI州のBirth to threeの評価をまた受けるのであった。 各州に3歳未満のためのBirth to threeプログラム、3歳以上は各学区(スクールディストリクト)が運営するプログラムがあるはずだが(義務らしい)、それぞれシステム、プログラム、費用負担が違うので確認が必要   有効かどうか見極めるためにもまずは連絡をとることから始めるべき そして、パブリックのサービスがうまく都合にあわなければぷプライベートのセラピークリニックをプライマリケアから紹介してもらうことも可能である。   アメリカの子供の発達支援のシステムとクオリティは日本よりもだいぶ個別化されており良質である(と感じる)  日本でセラピーを受けたことはないので完全な比較はできない。保健師として地域母子保健を仕事にしていた妻から聞くに、日本では、例えば1歳半健診は、多くの子供を一堂に集めて一気にスクリーニングする。効率とコストの面では圧倒的に優れているこのシステム、裏を返すとすごく「雑!」なシステム。 子供一人一人に向ける時間と労力がと