スキップしてメイン コンテンツに移動

夜勤あるある

11月中に起こった夜勤中の悲劇

その時は怒り心頭だったので 1か月ほど熟成させておいた

問題は夜勤中、日勤の人の見逃し、不手際、そして標準には程遠い治療のしわ寄せが全て自分一人に相談されるという悪夢をよく経験することである。

あるあるフレーズ
退院が決まっている患者の退院書類が一切準備なされていません
退院時処方箋がありません
退院のオーダーが出ていますが、本人に退院のことが伝わっていません
退院のオーダーが出ていましたが、家に引き取る家族に説明がいっておらず説明を求めています
この薬の処方の意図はなんですか?
(夜勤帯に切り替わった瞬間)先生、患者さんの状態が(日中からすでに)良くないです
患者が痛み止めが効かないと言っています、(日勤者は何もしなかったから)なんとかして
家族が病状説明を要求しています
などなど

以下は起こりうる最悪に近い状況を想定した仮定のエピソードである。

入院担当でもないのに、ついて早々に1件入院を取らされる。ERからの急性腎不全。尿検査も何もされずアセスメントゼロの状態で患者は病棟に上げられている。されたことは、尿毒症でかゆがっているからと抗ヒスタミン薬が90歳の患者に投与しただけ。これは患者やナースに、この人に抗ヒスタミン薬を使って問題ないという印象を与えると共に、1-2日以内にせん妄になること間違いなし。せめて原因も治療してくれ。尿検査の採取から始まるので、治療に数時間の遅れが生じる。

同時にに病棟から次々に状態の宜しくない人の相談がくる。ただいつもはこういう嵐は午前1時にもなればピークを過ぎる。そう心の片隅で期待している自分がいる。

まずは病棟で再発した糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)患者。診断を付けた後もインスリンを変えずに管理している。背筋が凍る。ささっとインスリンのオーダーを変えて次に移る。しかし薬局から糖尿病チームが推奨した用法だからてめえごときが勝手に変えるなとオーダーを戻される。彼女の主張を聞く限り権威に惑わされ、病態に考えが及んでいないようだ。責任を取るのはこっちなんだけれども。

そうしている間にも別件。日中からずっと反応が乏しかったという患者の相談。日勤チームが色々検査をした形跡があり、ノートにもしっかり記載されている。大きな変化はないようだが、家族が心配しているから連絡してきたと。あまりに忙しいので、患者を診る前に明らかに抜けている検査「血ガス」をポチッとオーダー。患者の部屋にたどり着く前に結果がでており、CO2が溜まってよろしくないということでとりあえず病棟で治療。これくらいじゃICUに送らない文化も市中病院ならまずありえないので凄い。これを診断できなかった日勤チームはある意味すごい。血ガス再検で悪化していたので病棟で麻酔科の挿管チームに挿管してもらってからICUへ。

こうしている間にも小さな要件の多数のページを捌きながら最初の入院をやっと見に行く。尿検査はこの時点ではまだ採取すらされていない。しかしもう2件目の入院を振られる。系列のERからの転送。トリアージ係からは内視鏡のために送られてきたとだけ伝えられる。消化器科に電話で聞いたところ、この患者は知らされていないとキレられる。内視鏡が必要だろうと判断が下されたのは日勤の時間帯。消化器科には一切連絡を入れず、数時間後患者が病院に到着して初めてこっちの消化器科に連絡が来たという。そりゃ機嫌も悪くなるよ。その日のうちに専門医に見てもらえない患者が一番気の毒。

そうこうしているうちにDKA患者の次の採血結果が返ってくる。インスリン処方の件があったので、結果は想像できた。この人もICU送り。

そのあとも入院を振られ続け、落ち着いて申し送られた検査結果をフォローできたのが朝の4時過ぎ。100人ほどの患者のカバーをしているからこれだけでも結構な量。こういう日に限って、ナースが気をきかせて異常な結果をページしてくれないのもお約束。

夜勤者の中でフェローシップに進む同僚が2-3人いるようなので、来年も悲惨なままになりそうだ。

コメント

このブログの人気の投稿

同僚がよくお世話になっているCureusというオープンアクセス・ジャーナル

Cureusに毎月のように同僚がケースレポートを出している件 「俺、この数か月で7つケースレポート出版した」 という信じられない言葉を耳にした時も「いや無理でしょ」と思ったが 同期の(主に外国人医師)同僚に頼まれ、とりあえず「レビューアー」だけやってみることに。 サイトからアカウントを作って、すぐに登録は無料で簡単♪ (注:宣伝ではありません) どうやら、論文執筆するか、レビューするかでポイントがたまるらしい。 インパクトファクターはないからとりあえず 戦闘力 みたいなものをつけてるのかしら? 一番、驚きなのは同期の人曰く、論文を提出した人がレビューアーを3人くらいまで「 指定 」できること。 普通レビューアーを編集者に「提案」することはあっても、「指定」はできない。  そして、さらに3-4人ほど、編集者から関係ないレビューアーへ依頼が行くらしい。 (自分がファースト・オーサーで使うことはよほどのことがないと使わなそうなので、ほんとかどうかは知らないし、同僚のためにも調べないことにした) でも、6-7人がレビューするうち、 約半分はフレンドリーなコメントが来る ってことだと想像している🙊 早速、2件ほどケースレポートのレビューを丁寧にしたが 1つは、30か所以上コメントする始末。突っ込みどころ満載。この人からはレビューアー評価★5もらえたが。 1つは、15か所ほど指摘。 どちらも症例自体はよいんだけれど、こんなの世に出してる場合じゃない。さすがに、これからはレビューアーとしては敬遠されるかな。 最近初めてCureusで症例報告を出版した同僚が言っていた 「 2-3日で審査が終わって、指摘されたところをアップデートしたらアクセプト、そのままオンラインで出版された 」  え?6-7人の審査がそんなに早く終わったの? と聞いたところ 全くコメントせずに提出するレビューアーも中にはいるらしい😱 なるほど、確かにレビューもとても簡単で、オンラインで直接文章にメモとして書き込めるようになっており、「SUBMIT」を押して、最後の総括コメントいれて終わり だから、そういう人が出てくるのも致し方ないか? だからそんな多くのレビューアーにお願いするのだろうと想像している ...

KY(ケンタッキー)州ドライバーズライセンス(運転免許)を取得

さてさてどっぷり5月病にはまってしまい、日記を書くこともおざなりになってしまっている今日この頃 最近ケンタッキー州の運転免許を取得したので記録 NY州で取得した免許をWI州に移すときは書類提出だけで済んだと記憶しているが KY州はビザ持ちの場合、書類、筆記試験、路上試験と一からやり直さなくては免許が取れない。つまり、免許の移行というものができないらしい。 6月まで使っていた臨床トレーニング用Jビザは、一年ごとの更新のため、運転免許証もビザの期限に合わせて期限が1年になっているのがつらいところ。 7月に引っ越してすぐにWI州の免許が期限切れで使えなくなってしまうのだ   そのため6月に日本に一時帰国した際に、地元の運転免許センターで国際免許証を取得しておいた 期限は一年間で、これでケンタッキー州の運転免許をとるまで1年間の猶予が与えられることになる 元J2の妻は、NYにいたときに就労許可証を取得していた経緯があったので(結局働くことはなかったが)、ソーシャルセキュリティナンバーを持っており あとは、仕事の契約書か給与明細と、電気やガス代などのUtility関係の請求書さえあれば申請可能な状態だった   ガスかなにかの請求書に妻と自分の名前を併記してもらうようにお願いし まつこと、、、 2か月、ようやく請求書が手元に届き   市の運転免許センターらしきところへ 受付窓口に並んでいると、アメリカ国民でなければ違う窓口でまずは書類審査をうけろと言われた(入口入ってすぐにあるドアから入る) 同じ建物内の、違うドアから入り、狭い待合室で待たされたのち なにか書類を持たされ、通常の受付へと通された そのあとはしばらく待った後に、筆記試験を受けてその日は終了 筆記試験は、一問解くごとに正解不正解が分かるようになっており、親切だったが 当日の朝に、ネットで練習問題を一度見ただけの知識では結構難しい問題も普通にあった 僕らは国際免許証を持っていたためかLearner Permitというものはもらえなかった 帰り際に路上試験の予約をしようとしたが、次の週までの予約しかとっておらず 後日電話にて予約をとった(なかなか電話にでてくれず苦労した) ジョークのような ...

J1ウェイバーのメリット・デメリット

 今の大学病院に来て4年目  当時に比べ働きにくい職場になったかもしれない リサーチやQIのインフラが改善することもなく3年たったので 博士が終わった後の進路も含めてどうするか考えるようになった そしてちょうどそんな折、J1ウェイバーにアプライするか聞かれた 毎年6月末に病院・医学部のリーダー達がJ1ウェイバーの候補者のランキングを決めるのだが ウェイティングリストには就任時から入っていたものの 病院側としてはホスピタリストにJ1ウェイバーをさせる気すらないと 過去2年はランキング対象外にされたと 3年たちO1の更新の年になったので、流石に科長とビザ担当者が   これだけの貢献をしているのだから彼を残すべきだ  と自分のパフォーマンスデータなどを提出し説得して ようやく、8番目にランクされたと聞いた(はっきり言わなかったが多分一番最後だろう) すでに一人下りた人がいるとのことで 7番目、しかもフレックスでないといけない フレックスが必要な人の中では3番目だと   毎年J1ウェイバーは6スポットくらいもらえているらしく 運のいい年で8スポット フレックスはよくてその中の2スポットくらい つまり可能性は薄いとビザ担当者から聞かされた   そのうえでアプライするかどうか聞かれたわけであるが いつ辞めるか考えているこっちとしては 「は?遅すぎる上に失礼極まりない」 という感じなのだが、とりあえず条件次第なので ウェイバーするとして週40時間臨床ルールはどうなるのか聞いてみた 100%臨床で働いてやっと週42時間の計算なので 2時間X50週としても100時間程度しか臨床から解放されない グラントやディレクターのポジションを取ったところで 臨床をほぼ100%しながら臨床以外の役割をこなさなければいけないということだ ここが超一流の大学病院なら就任7年で臨床100%でも文句は言わないが ここで7年たって100%臨床はめったにいないヤバい人だ   「今4年目でその条件は悪すぎるのでは」 「PhDが終わったらもっとアカデミックな大学に行った方がよい」 「グリーンカードが欲しければ日本に一時帰国して日本のネットワークを作ってからアカデミックな大学に戻ったほうがよさそう」  と素直に自分の考えを科長に共有してお...