NYの病院では、ホスピタリストをやりながらアドバイザーらしき仕事をしている指導医がいたが、今の病院では、アドバイザー専門で勤務している内科医がいる。昨年辺りにこの分野の専門医も設置されたそうなので、今後は需要が増えていくのだろう…2日ほど一緒に働かせてもらう機会を得たが、まぁ多様な働き方があっていいなぁという感想を持ったのでメモ。
(病院によって異なるかもしれないが)アドバイザーの仕事のメインは、毎日大量に入院してくる患者の「入院(Inpatient)」と「観察(Observation)」の適切さを判断すること。
この病院では、CaseManagementの部署内に数人のケースマネージャー(看護師:RN)と一人のアドバイザー(医師:MD)からなるチームがあり、ケースマネージャーたちは、病棟ごとに割り当てを決めて、全ての入院してくる患者のスクリーニングを一日22時間、週七日体制でやっているらしい。
この「入院」と「観察」の違いは米国特有のシステムだろう。
日本では入院によって発生した医療費は、(患者負担以外の分は)病院側は保険会社に請求書を送って、保険会社から残りを支払ってもらうわけだが、金額は(限定された)診断名によって一定に設定されている。患者が長く入院しようがしまいが、保険会社から支払われる額は基本一定額にすることで、病院側に入院期間を短くさせるなり、無駄な検査をしないなり、医療費を無駄にしないような力が働くようにしている。
ただ日本のシステムは(自分が米国にいる間に変わっていなければ)まだ限定的な適用にとどまっており(確か全ての疾患に対応しているわけではない)、他にも胃カメラなどの手技に関してはやったらやっただけお金を請求できるようになっていることなどは、Fee For Serviceと言って、提供したサービスに応じてお金をもらえるシステムのままである。
米国ではそのような古い医療費支払いシステムは急速に廃れており、入院医療費は診断名ごとに値段設定されているのは当たり前、その中でも並存する急性疾患や基礎疾患などで予想される平均入院日数まで設定されており、その長さに応じた金額を保険会社から支払われることになっている。
話はここでは終わらない。
近年ICD−9と言う診断名のリストが新しくICD-10にアップデートされたが、診断の分類がさらに細かくなってしまった。これは特に外来では大きく影響があるようで、例えば打撲なら右なのか左なのかまで聞かれる始末。
この複雑なルールを医師が理解していないと、うっかり異様に安い診断名を入れるなりすることになるわけだが、詳しい人でも間違えるのだからできるはずもない。とにかく病院への支払いを抑制しようとしている姿勢だけが現場には伝わってくる。
国が大きな枠組みや決まりを作るわけだが、詳細は保険会社が決める。つまり大まかには国−>保険会社−>病院−>医師−>(か=)患者の順に立場が弱くなっていく。保険会社も儲けなければいけないので、詳細な手厳しい決まりを作ってくる。
話を戻して入院診療に関しては、「入院:Inpatient」と「観察:Observation」と大きく二つの分類があり、観察はさらに「ベッド代請求なし:NoBedCharge」「手技後のリカバリー:Observation Fo rRecovery」「観察:Observation」などさらに細分化されている。No Bed<Obs Fo rRecovery<Observation<<<Inpatientの順に支払われる額が増えるわけだが、これらをきちんと請求する際に区別しておく必要がある。
ここまで複雑になると、さすがに病院側も専属のチームを作り、専属の医師を雇うという流れか。ここの病院でも数年前まで保険会社への請求が拒否されることにより、ものすごい額を失ってきたらしい。専属チームのおかげで3分の1くらいには減ってきたようだが、それでもまだ信じられない額を間違った請求のせいで失っているらしい。
保険の内容も会社によってバラバラ。審査の基準も厳しさもバラバラらしい。
メディケアの場合、「入院が二夜以上:TwoMidnightRule」予想されるかと「入院ででしかできないレベルの治療が必要:MedicalNecessity」が「入院」分類で請求するために必要。
メディケイドの場合、MedicalNecessityのみが入院分類で請求するために必要。
他のコマーシャルの保険会社については知らない。というかきりがないので知りたくもない。NYの時には、コマーシャルの保険で観察分類の請求を却下されて全額患者負担とかいう悲劇も度々耳にしたので、本当に患者が一番困るシステム担っている。
メディケアは特定の疾患を持つ人や65歳以上の高齢者向けの保険だが、万能ではなく、パートAが入院診療をカバーするが、自己負担分が設定されているらしく、最大1回の入院あたり1300ドルくらい(Maxの値段は不確かなので参考程度)払うこともあるらしい。一度払うと60日間は何度入院しても自己負担はゼロだが、60日以降(90日かも?)の入院ではまた同額の自己負担を求められる。パートBは外来診療をカバーしてくれるが、80%しかカバーされず、20%は自己負担。外来診療も日本に比べれば相当高額の請求がされるので、正直安くもなんともない。パートDが薬のカバーだったかな。収入によって月々の保険料が発生するので、それを考えるとやはりお金のかかる保険なのだ。
メディケイドは、所得の低い人向けの保険という認識が一番手取り早いが、カバーはまずまず悪くなく、自己負担がとにかく少ないようだ。メディケアとの併用も可能で、メディケアと両方持っている人は、メディケアで生じた自己負担分をカバーしてくれたりする。オバマケアでメディケアメディケイドを取得した人は何十万(数は不確か)も増えたようだ。
…ちなみに米国では医療費が個人破産の一番の理由らしい。そりゃそうなるわな。
MedicalNecessityについてはお国(CMS)から特定のガイドラインは提示されておらず、いくつかの会社が提供しているガイドラインの中から病院ごとに勝手に選んでそれに沿うように指示されているらしい。
膨大なデータベースでオンラインでアクセスできるようになってあり(フリーではなさそうだ)、個別に覚えるのはまず不可能。結構基準は厳しく、例えばSpO2(指などで測る酸素飽和度)が91%で酸素投与が開始された場合、これは保険的にはアウトで、低酸素血症は証明されていないことになる。誰かがSpO2が<90%だったことをちゃんと記載していないといけない。カルテに低酸素性呼吸不全と書くだけでは通用しないらしい(90%きってないから保険会社的には嘘でしょってなるらしい)。よって低酸素だから入院管理が必要とはできない。他の基準を使うことになるが、他の基準もなかなか手厳しい。
例えば急性出血がカルテに書かれていなくてHb(ヘモグロビン:貧血の値)が7以下で輸血された場合、これも外来でできる処置となってしまう。とにかく正確なカルテ記載となぜ入院が必要なのかについて簡潔に書かれていないと大体病院がお金を失う仕組みになっている。
特定の手技は、日帰りや1泊で帰宅できるものであっても「入院下で行うことを必須」と指定されているものがあり(特殊な心臓カテーテル治療など)、もしそれらを医師が間違って「観察」で入力して、この専属チームが見逃した場合、保険会社は一文たりとも払わないらしい。
日々新しい技術が出てきているため、今年から新しく始めたカテ−テル治療ですでに1件「観察」で請求して却下を食らったらしい。高額な最新治療なので、病院が失う額も相当のようだ。
ちなみにメディケアは日付を遡っての変更はできないので、できるだけ早くオーダー上で変更するのがとても大事。特にメディケアはSNF・SAR(亜急性の人がリハする病院施設)をカバーしてくれるが、3夜(Inpatientの状態で)入院していないと適応されない。メディケアは日付を遡れないので、Inpatientに変更してからのぶんしかカウントされない。メディケアなど他の保険は日付を遡って変えることも可能だったりする。もし診療している医師が、専属チームから入院区分を変更を要求して拒否した場合、専属チームがSelfDenialと言って、自分の病院が請求している内容を自分たちで拒否するという意味不明なステップを踏むことにより、保険会社に正しい請求を行うことも可能らしい。患者が退院してから請求区分を変える場合も同様にSelfDenialを使うらしい。
保険会社から請求を却下された場合、保険会社の医師アドバイザーと診療した医師(か病院の専属医師アドバイザー)での電話レビューにより却下を取り消せる可能性がある。それでもダメな場合は病院は一切お金をもらえない。そして患者に何百万と請求がいくのだろう…
とにかく「入院」で請求できる分は取りこぼさず入院で請求することが大事だが、却下されれば病院と患者が苦しむので、決まり通りに請求することがとても大事。NYのコロンビア大学病院のNY-Presbyterianは、Inpatientでの請求が不当に多すぎるということで国組織からの監査が入り、十億円以上の罰金を受けたように、悪気があってやったわけでなくても、知らずに間違ったことをしているととんでもない結果を招く可能性があるとのことだ。また、入院と観察では請求される医療費の桁が変わってくるので、観察で請求した方が患者への負担が減ることもあるだろう。しかし、病院によっては観察の場合、薬代と薬の処置台を全て患者負担にするところがあるようなので(保険会社からの支払いは外来レベルの金額になるから)、患者負担が膨らむ危険性も多分に含んでいる。それに関する苦情もすごく多いらしい。
ここの病院はもう少しすると薬と薬の処置台は病院持ちにするようなので、それはさっさとそうしてほしいものだ。
外来診療では最近、病院と各保険会社間の契約で、BundledPaymentという新しい取り組みが始まっているので、将来的には入院診療も可能な限り同じシステムが導入されるだろう(Fee For Valueの方向に向かうのだろう)。Value(価値)は医療の質/コストで、医療の質が高ければその分病院にお金を上積みして渡すが、どれだけのサービスを提供するかは病院次第。
例えば日本のように頻回な受診を可能にして、過剰に検査と治療をすれば(人間ドックのように)、質は保てるだろうが、保険会社は提供したサービスに応じてはお金を払ってくれない。あくまで患者の結果・病院のパフォーマンスだけを見る。これだけだとFeeForPerformanceという質を重視する枠組みだが、病院が複雑でない患者だけを集めて受診回数や検査を最低限まで減らしても、見た目の患者の結果、パフォーマンスを上げることができるので、ここにコストの概念、過剰も避けるが、過小なサービスも避けることを入れるとValue二なる。
NYの時の病院の外来ではある保険会社と提携して、その保険会社のメディケアを持つ患者の数に対して巨額な、ただし一定の年額を病院に支払って、あとはどれだけコストをかけるのかは病院次第というBundledPaymentの取り組みをしていた。そして医療の質の指標が高ければ、お金が上積みされる、というシステムである(ボーナスとしてか、翌年の額が上がるのかは知らない)。
このように病院としては過剰なサービス(無駄)を避けつつ、過小なサービス(質を落としかねない)を避けつつ、コストを抑えながら質を高める方向に力を向かわせる取り組みを目指しているのだが、理想と現実の乖離は激しい。現状はここの専属チームのように、病院の仕事をひたすら増やしていっているし。
(病院によって異なるかもしれないが)アドバイザーの仕事のメインは、毎日大量に入院してくる患者の「入院(Inpatient)」と「観察(Observation)」の適切さを判断すること。
この病院では、CaseManagementの部署内に数人のケースマネージャー(看護師:RN)と一人のアドバイザー(医師:MD)からなるチームがあり、ケースマネージャーたちは、病棟ごとに割り当てを決めて、全ての入院してくる患者のスクリーニングを一日22時間、週七日体制でやっているらしい。
この「入院」と「観察」の違いは米国特有のシステムだろう。
日本では入院によって発生した医療費は、(患者負担以外の分は)病院側は保険会社に請求書を送って、保険会社から残りを支払ってもらうわけだが、金額は(限定された)診断名によって一定に設定されている。患者が長く入院しようがしまいが、保険会社から支払われる額は基本一定額にすることで、病院側に入院期間を短くさせるなり、無駄な検査をしないなり、医療費を無駄にしないような力が働くようにしている。
ただ日本のシステムは(自分が米国にいる間に変わっていなければ)まだ限定的な適用にとどまっており(確か全ての疾患に対応しているわけではない)、他にも胃カメラなどの手技に関してはやったらやっただけお金を請求できるようになっていることなどは、Fee For Serviceと言って、提供したサービスに応じてお金をもらえるシステムのままである。
米国ではそのような古い医療費支払いシステムは急速に廃れており、入院医療費は診断名ごとに値段設定されているのは当たり前、その中でも並存する急性疾患や基礎疾患などで予想される平均入院日数まで設定されており、その長さに応じた金額を保険会社から支払われることになっている。
話はここでは終わらない。
近年ICD−9と言う診断名のリストが新しくICD-10にアップデートされたが、診断の分類がさらに細かくなってしまった。これは特に外来では大きく影響があるようで、例えば打撲なら右なのか左なのかまで聞かれる始末。
この複雑なルールを医師が理解していないと、うっかり異様に安い診断名を入れるなりすることになるわけだが、詳しい人でも間違えるのだからできるはずもない。とにかく病院への支払いを抑制しようとしている姿勢だけが現場には伝わってくる。
国が大きな枠組みや決まりを作るわけだが、詳細は保険会社が決める。つまり大まかには国−>保険会社−>病院−>医師−>(か=)患者の順に立場が弱くなっていく。保険会社も儲けなければいけないので、詳細な手厳しい決まりを作ってくる。
話を戻して入院診療に関しては、「入院:Inpatient」と「観察:Observation」と大きく二つの分類があり、観察はさらに「ベッド代請求なし:NoBedCharge」「手技後のリカバリー:Observation Fo rRecovery」「観察:Observation」などさらに細分化されている。No Bed<Obs Fo rRecovery<Observation<<<Inpatientの順に支払われる額が増えるわけだが、これらをきちんと請求する際に区別しておく必要がある。
ここまで複雑になると、さすがに病院側も専属のチームを作り、専属の医師を雇うという流れか。ここの病院でも数年前まで保険会社への請求が拒否されることにより、ものすごい額を失ってきたらしい。専属チームのおかげで3分の1くらいには減ってきたようだが、それでもまだ信じられない額を間違った請求のせいで失っているらしい。
保険の内容も会社によってバラバラ。審査の基準も厳しさもバラバラらしい。
メディケアの場合、「入院が二夜以上:TwoMidnightRule」予想されるかと「入院ででしかできないレベルの治療が必要:MedicalNecessity」が「入院」分類で請求するために必要。
メディケイドの場合、MedicalNecessityのみが入院分類で請求するために必要。
他のコマーシャルの保険会社については知らない。というかきりがないので知りたくもない。NYの時には、コマーシャルの保険で観察分類の請求を却下されて全額患者負担とかいう悲劇も度々耳にしたので、本当に患者が一番困るシステム担っている。
メディケアは特定の疾患を持つ人や65歳以上の高齢者向けの保険だが、万能ではなく、パートAが入院診療をカバーするが、自己負担分が設定されているらしく、最大1回の入院あたり1300ドルくらい(Maxの値段は不確かなので参考程度)払うこともあるらしい。一度払うと60日間は何度入院しても自己負担はゼロだが、60日以降(90日かも?)の入院ではまた同額の自己負担を求められる。パートBは外来診療をカバーしてくれるが、80%しかカバーされず、20%は自己負担。外来診療も日本に比べれば相当高額の請求がされるので、正直安くもなんともない。パートDが薬のカバーだったかな。収入によって月々の保険料が発生するので、それを考えるとやはりお金のかかる保険なのだ。
メディケイドは、所得の低い人向けの保険という認識が一番手取り早いが、カバーはまずまず悪くなく、自己負担がとにかく少ないようだ。メディケアとの併用も可能で、メディケアと両方持っている人は、メディケアで生じた自己負担分をカバーしてくれたりする。オバマケアでメディケアメディケイドを取得した人は何十万(数は不確か)も増えたようだ。
…ちなみに米国では医療費が個人破産の一番の理由らしい。そりゃそうなるわな。
MedicalNecessityについてはお国(CMS)から特定のガイドラインは提示されておらず、いくつかの会社が提供しているガイドラインの中から病院ごとに勝手に選んでそれに沿うように指示されているらしい。
膨大なデータベースでオンラインでアクセスできるようになってあり(フリーではなさそうだ)、個別に覚えるのはまず不可能。結構基準は厳しく、例えばSpO2(指などで測る酸素飽和度)が91%で酸素投与が開始された場合、これは保険的にはアウトで、低酸素血症は証明されていないことになる。誰かがSpO2が<90%だったことをちゃんと記載していないといけない。カルテに低酸素性呼吸不全と書くだけでは通用しないらしい(90%きってないから保険会社的には嘘でしょってなるらしい)。よって低酸素だから入院管理が必要とはできない。他の基準を使うことになるが、他の基準もなかなか手厳しい。
例えば急性出血がカルテに書かれていなくてHb(ヘモグロビン:貧血の値)が7以下で輸血された場合、これも外来でできる処置となってしまう。とにかく正確なカルテ記載となぜ入院が必要なのかについて簡潔に書かれていないと大体病院がお金を失う仕組みになっている。
特定の手技は、日帰りや1泊で帰宅できるものであっても「入院下で行うことを必須」と指定されているものがあり(特殊な心臓カテーテル治療など)、もしそれらを医師が間違って「観察」で入力して、この専属チームが見逃した場合、保険会社は一文たりとも払わないらしい。
日々新しい技術が出てきているため、今年から新しく始めたカテ−テル治療ですでに1件「観察」で請求して却下を食らったらしい。高額な最新治療なので、病院が失う額も相当のようだ。
ちなみにメディケアは日付を遡っての変更はできないので、できるだけ早くオーダー上で変更するのがとても大事。特にメディケアはSNF・SAR(亜急性の人がリハする病院施設)をカバーしてくれるが、3夜(Inpatientの状態で)入院していないと適応されない。メディケアは日付を遡れないので、Inpatientに変更してからのぶんしかカウントされない。メディケアなど他の保険は日付を遡って変えることも可能だったりする。もし診療している医師が、専属チームから入院区分を変更を要求して拒否した場合、専属チームがSelfDenialと言って、自分の病院が請求している内容を自分たちで拒否するという意味不明なステップを踏むことにより、保険会社に正しい請求を行うことも可能らしい。患者が退院してから請求区分を変える場合も同様にSelfDenialを使うらしい。
保険会社から請求を却下された場合、保険会社の医師アドバイザーと診療した医師(か病院の専属医師アドバイザー)での電話レビューにより却下を取り消せる可能性がある。それでもダメな場合は病院は一切お金をもらえない。そして患者に何百万と請求がいくのだろう…
とにかく「入院」で請求できる分は取りこぼさず入院で請求することが大事だが、却下されれば病院と患者が苦しむので、決まり通りに請求することがとても大事。NYのコロンビア大学病院のNY-Presbyterianは、Inpatientでの請求が不当に多すぎるということで国組織からの監査が入り、十億円以上の罰金を受けたように、悪気があってやったわけでなくても、知らずに間違ったことをしているととんでもない結果を招く可能性があるとのことだ。また、入院と観察では請求される医療費の桁が変わってくるので、観察で請求した方が患者への負担が減ることもあるだろう。しかし、病院によっては観察の場合、薬代と薬の処置台を全て患者負担にするところがあるようなので(保険会社からの支払いは外来レベルの金額になるから)、患者負担が膨らむ危険性も多分に含んでいる。それに関する苦情もすごく多いらしい。
ここの病院はもう少しすると薬と薬の処置台は病院持ちにするようなので、それはさっさとそうしてほしいものだ。
外来診療では最近、病院と各保険会社間の契約で、BundledPaymentという新しい取り組みが始まっているので、将来的には入院診療も可能な限り同じシステムが導入されるだろう(Fee For Valueの方向に向かうのだろう)。Value(価値)は医療の質/コストで、医療の質が高ければその分病院にお金を上積みして渡すが、どれだけのサービスを提供するかは病院次第。
例えば日本のように頻回な受診を可能にして、過剰に検査と治療をすれば(人間ドックのように)、質は保てるだろうが、保険会社は提供したサービスに応じてはお金を払ってくれない。あくまで患者の結果・病院のパフォーマンスだけを見る。これだけだとFeeForPerformanceという質を重視する枠組みだが、病院が複雑でない患者だけを集めて受診回数や検査を最低限まで減らしても、見た目の患者の結果、パフォーマンスを上げることができるので、ここにコストの概念、過剰も避けるが、過小なサービスも避けることを入れるとValue二なる。
NYの時の病院の外来ではある保険会社と提携して、その保険会社のメディケアを持つ患者の数に対して巨額な、ただし一定の年額を病院に支払って、あとはどれだけコストをかけるのかは病院次第というBundledPaymentの取り組みをしていた。そして医療の質の指標が高ければ、お金が上積みされる、というシステムである(ボーナスとしてか、翌年の額が上がるのかは知らない)。
このように病院としては過剰なサービス(無駄)を避けつつ、過小なサービス(質を落としかねない)を避けつつ、コストを抑えながら質を高める方向に力を向かわせる取り組みを目指しているのだが、理想と現実の乖離は激しい。現状はここの専属チームのように、病院の仕事をひたすら増やしていっているし。
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