スキップしてメイン コンテンツに移動

質的研究(10)データ解析メモ

■データ収集しつつ解析をするのは質的研究の特徴。
研究者は何を発見するか、何に注目するのか、誰に注目するのかわからないし、最終結果がどうなるかもわからない。最終結果はデータと解析によって形作られる。同時に解析していかないかぎり、データはUnfocused, repetitious, overwhelmingになる。大量のデータが集積して行くためだ。データ収集はSaturation(データ収集解析を進めていく過程で、新しいデータを収集しても新しい情報が出てこない状態)するまで集めるのが理想。

■データ解析の10のコツ
1:Make decisions that narrow The study:全てを追い求めようとしないこと。でなければデータはDiffuseかつ不適切になる。これは実感している。初めは新鮮な発見が多いため用意していた質問全てを聞こうと必死だったが、インタビューに時間がかかりすぎる、最も大事なことを聞く時間は自然と削られる、インタビュースクリプトが膨大になりCodingも相当に時間がかかる。初めは広く始めるのはいいが、早々に解析を開始して強制的にNarrowするくらいの気持ちが必要。

2:Make decisions regarding The Type of study:ある現象や問題について詳細な描写をするのが目的なのか、それともその一側面に関する理論を構築したいのか、何を達成しようとしているかについてははっきりさせておくこと。これは研究計画の段階ではっきり決めておくべきというのは簡単だが、実際データを集めると、新鮮な描写的情報が入ってきてついつい目的を忘れてしまいがち。

3:Develop analytic questions:多くの場合質問のリストをあらかじめ作る場合が多いだろうが、データ収集を集め始めたらすぐに、質問の取捨選択や修正を始めること。

4:Plan to pursue specific leads in The NeXt data collection based on What you Find in previous Observation:ここはまさにOngoing data analysisが重要になってくるところ。同じマインドでインタビューを繰り返していると、すぐに新しい発見がなくなってくると感じる。しかしそれは、単にデータをよく解析していないから、何を集中して聞いて、どのように質問をProbeしていくかの準備ができていないだけの可能性が高い。

5:Observer’s commentsをたくさん書く:自分のCritical thinkingを刺激して、メモっていく。“To become more than a recording machine

6:Write Memos about What you are learningReflectionに役立つ。

7:Try out ideas and themes on Participants:インタビュー中に、これまで見られるパターンやThemeについてどう思うか聞いてみるのはあり。“Fill in The holes of description

8:Literature reviewを始める

9:Metaphor, Analogies, conceptsを使うと視野を広く保てるかも

10:Use visual devices:とにかく視覚化

■データ管理

Codingは“Nothing more than Assigning some sort of short-hand designation to various aspects of your data so that you can easily retrieve specific pieces of The data



■質的研究解析のタイプ
色々な説明がなされているが、総合すると、データ収集と解析の過程は、Grounded theoryのConstant Comparative Methodで持って、Saturationが起こるまでデータ収集を続けるという方法は、他の質的解析でも普遍的に取り入れられるようになっているようなので、解析のプロセス面でのオーバーラップがとても大きい。Critical Attributesを考える上では、研究目的をしっかり踏まえた上での理論の選択が必要になってきそう。そして質的研究の特徴として、続々と集まるデータによっては途中で方向性を変えていくことがあるので、その場合は理論の再考も必要になるだろう。そして勿論こういう変更があるとレビューする量的研究者は我慢ならないだろうなと想像に難くない。ただこれが質的研究の正しい姿のようだが。実際、自分がやっている質的研究は、量的研究者として大成功してきたGIMの新しいボスは(応援はしてくれるが)、いつも量的研究のレンズでしかものを言ってこない。量的研究者との議論に耐えうるだけの知識武装をすることが必要。

Phenomenological analysis
EpocheVan Manen 2014)/Bracketing:自身の解釈、バイアスを入れないようにして常にオープンにデータを取る。
Phenomenological reduction:“Lead Researchers back to The experience of Participants and to Reflect on it”ということらしいが、インタビュー中の話だけに限ったことなのかそうでないのか不明。Lived experienceを描写する目的。
Imaginative Variation:想像で考えうるいろいろな視点から研究事項に関して可能性のある意味を探す。Structual description, precipitating factors for What is experienced=どのようにあることに関する経験がそのようになったのか?

Grounded theory
The theory grounded in The data and emerges from Them
3つの要素:CategoriesPropertiesに加えてHypotheses=CategoriesPropertiesの間のConceptualリンク。Theory構築に関係なく、Constant comparative Methodは他のタイプでも使われている。
この手の理論はSubstantive theoryと呼ばれる。

PropertiesDimensions of A category。例:Career malaiseがカテゴリーとしたら、BoredomPropertyになりうる。

Core categoryは現象の中心的な側面。全てのカテゴリーや仮説が関係する、ハブの中心部。
Hypothesisはカテゴリー同士がどう関連するかについての仮説のことであって、Suggestionであって、Proofではない。

Codingの3種類:Open Coding(タグ付け)、Axial coding(カテゴリー・プロパティの関連性を見つけていく)、Selective CodingCoreカテゴリーや仮説を形作る)

Ethnographic analysis
Rich and thick descriptionがキモのタイプ。
DescriptionWhat is going on?)、AnalysisIdentification of essential features and relationships)、InterpretationWhat does It all mean?
Category schemesAn emicTerms commonly found in The culture vs eticTerms constructed by ethnographers perspective
TypologyClassification of Two or more Variables
Cognitive mapsが使われる傾向
Netnographic”解析:Social MediaOnline cultureに関する研究。

Narrative inquiry
Storiesを使うのがキモのタイプ。解析のアプローチの自由度が高すぎる。ベストな方法がなくいろんな方法が取れる。

Case studies
Intensive Holistic Description and analysis of A single bounded Unit”
とにかくそのケースの理解を伝えるのが使命
複数の情報のソースで持って一つのケースをひたすら解析。多量の情報のマネジメントがキーになってくる。
Multiple or comparative Case studiesはいくつかのケースについて同じことをする。一つ一つを解析(Within Case analysis)、そしてInductiveに全てのケースに当てはまる説明を探す(Build Abstractions across cases)=Cross-Case analysis

Action Research studies
Solving a Problem in Practice or developing an intervention
Research not only to overall Effects bUt also How The Process itself unfolds
What happens and How It happens in the cycle of plan, act, observe, reflect

解析の仕方は他のタイプと同じ。研究のアプローチが違うだけ。

コメント

このブログの人気の投稿

同僚がよくお世話になっているCureusというオープンアクセス・ジャーナル

Cureusに毎月のように同僚がケースレポートを出している件 「俺、この数か月で7つケースレポート出版した」 という信じられない言葉を耳にした時も「いや無理でしょ」と思ったが 同期の(主に外国人医師)同僚に頼まれ、とりあえず「レビューアー」だけやってみることに。 サイトからアカウントを作って、すぐに登録は無料で簡単♪ (注:宣伝ではありません) どうやら、論文執筆するか、レビューするかでポイントがたまるらしい。 インパクトファクターはないからとりあえず 戦闘力 みたいなものをつけてるのかしら? 一番、驚きなのは同期の人曰く、論文を提出した人がレビューアーを3人くらいまで「 指定 」できること。 普通レビューアーを編集者に「提案」することはあっても、「指定」はできない。  そして、さらに3-4人ほど、編集者から関係ないレビューアーへ依頼が行くらしい。 (自分がファースト・オーサーで使うことはよほどのことがないと使わなそうなので、ほんとかどうかは知らないし、同僚のためにも調べないことにした) でも、6-7人がレビューするうち、 約半分はフレンドリーなコメントが来る ってことだと想像している🙊 早速、2件ほどケースレポートのレビューを丁寧にしたが 1つは、30か所以上コメントする始末。突っ込みどころ満載。この人からはレビューアー評価★5もらえたが。 1つは、15か所ほど指摘。 どちらも症例自体はよいんだけれど、こんなの世に出してる場合じゃない。さすがに、これからはレビューアーとしては敬遠されるかな。 最近初めてCureusで症例報告を出版した同僚が言っていた 「 2-3日で審査が終わって、指摘されたところをアップデートしたらアクセプト、そのままオンラインで出版された 」  え?6-7人の審査がそんなに早く終わったの? と聞いたところ 全くコメントせずに提出するレビューアーも中にはいるらしい😱 なるほど、確かにレビューもとても簡単で、オンラインで直接文章にメモとして書き込めるようになっており、「SUBMIT」を押して、最後の総括コメントいれて終わり だから、そういう人が出てくるのも致し方ないか? だからそんな多くのレビューアーにお願いするのだろうと想像している レビューも学術

KY(ケンタッキー)州ドライバーズライセンス(運転免許)を取得

さてさてどっぷり5月病にはまってしまい、日記を書くこともおざなりになってしまっている今日この頃 最近ケンタッキー州の運転免許を取得したので記録 NY州で取得した免許をWI州に移すときは書類提出だけで済んだと記憶しているが KY州はビザ持ちの場合、書類、筆記試験、路上試験と一からやり直さなくては免許が取れない。つまり、免許の移行というものができないらしい。 6月まで使っていた臨床トレーニング用Jビザは、一年ごとの更新のため、運転免許証もビザの期限に合わせて期限が1年になっているのがつらいところ。 7月に引っ越してすぐにWI州の免許が期限切れで使えなくなってしまうのだ   そのため6月に日本に一時帰国した際に、地元の運転免許センターで国際免許証を取得しておいた 期限は一年間で、これでケンタッキー州の運転免許をとるまで1年間の猶予が与えられることになる 元J2の妻は、NYにいたときに就労許可証を取得していた経緯があったので(結局働くことはなかったが)、ソーシャルセキュリティナンバーを持っており あとは、仕事の契約書か給与明細と、電気やガス代などのUtility関係の請求書さえあれば申請可能な状態だった   ガスかなにかの請求書に妻と自分の名前を併記してもらうようにお願いし まつこと、、、 2か月、ようやく請求書が手元に届き   市の運転免許センターらしきところへ 受付窓口に並んでいると、アメリカ国民でなければ違う窓口でまずは書類審査をうけろと言われた(入口入ってすぐにあるドアから入る) 同じ建物内の、違うドアから入り、狭い待合室で待たされたのち なにか書類を持たされ、通常の受付へと通された そのあとはしばらく待った後に、筆記試験を受けてその日は終了 筆記試験は、一問解くごとに正解不正解が分かるようになっており、親切だったが 当日の朝に、ネットで練習問題を一度見ただけの知識では結構難しい問題も普通にあった 僕らは国際免許証を持っていたためかLearner Permitというものはもらえなかった 帰り際に路上試験の予約をしようとしたが、次の週までの予約しかとっておらず 後日電話にて予約をとった(なかなか電話にでてくれず苦労した) ジョークのような 路上試験 路上試験当日、

アメリカで言語療法(スピーチセラピー)と作業療法(オキュペイショナルセラピー)を受けるべきか

アメリカの健診で、子供の言葉の遅れを指摘された。セラピーを受けるべきか? 自分の身に起こったことだが 、言葉が遅れているからセラピーを勧められても、一人目の子供だと特にどうしたらいいか分からない。 結論としては、「とりあえず受けてみる」べきだと思う。 その時はマンハッタンに住んでいたので、家では日本語、デイケアにも入れる余裕はなく(週2で月1000どる越えとか今でも無理)英語を話す子供との触れ合いも少なく、言葉が遅れるのは半ば必然の状況でもあった。 しかし、小児科の先生も「バイリンガルの環境だと遅れることはよくあります」と事情を汲んだうえでセラピーの評価だけでも勧められたので 言われたように州が運営するBirth to threeに連絡。スムーズに手続きが進み(聴覚検査はやらされたか)、最初の言語聴覚士評価 に向かった。 若い言語聴覚士の人があの手この手で一緒に遊んでくれ、言葉を引き出していた。 こんな方法があったのか! といろいろな発見や学びがあったのに驚いた。普段遊んでいても出さないような音を真似して発していた。  そして評価が終わってセッションが始まる前にWI州に引っ越し WI州のBirth to threeの評価をまた受けるのであった。 各州に3歳未満のためのBirth to threeプログラム、3歳以上は各学区(スクールディストリクト)が運営するプログラムがあるはずだが(義務らしい)、それぞれシステム、プログラム、費用負担が違うので確認が必要   有効かどうか見極めるためにもまずは連絡をとることから始めるべき そして、パブリックのサービスがうまく都合にあわなければぷプライベートのセラピークリニックをプライマリケアから紹介してもらうことも可能である。   アメリカの子供の発達支援のシステムとクオリティは日本よりもだいぶ個別化されており良質である(と感じる)  日本でセラピーを受けたことはないので完全な比較はできない。保健師として地域母子保健を仕事にしていた妻から聞くに、日本では、例えば1歳半健診は、多くの子供を一堂に集めて一気にスクリーニングする。効率とコストの面では圧倒的に優れているこのシステム、裏を返すとすごく「雑!」なシステム。 子供一人一人に向ける時間と労力がと