スキップしてメイン コンテンツに移動

QIに対する疑問

Quality Improvementについては自分もまだ勉強中の身であるし、それをメインの専門にはしようとしていないので不勉強なことも多いが、正直リサーチをやる身からすると不公平感が多い。

今日も昼のホスピタリスト科のリサーチミーティングにて、最近試験運用を始めた退院時タイムアウトというチェックリストについて、どのようなデータを取るかなど話し合ったが、これは将来的にデータを外部に発表することを前提として話し合っているので、QIを使ったアウトカムリサーチになるわけだ。

そもそも、試験運用まで始まる段階まで行っているのにもかかわらず、どのデータを集めるか決めていない。はぁ?と思いながらも、色々リサーチとして成立・成功するにはこうすべきじゃないかということは突っ込んでおいた。

しかも、「まずは仮説をどうするか」からボスが話し始めたので、唖然としたが、このプロジェクトに関わっている同僚の説明を聞く限り、、、、なんのビジョンも感じられない。

ベースラインのデータもある、としているが、あるのは2群に分けた30日以内の再入院率のデータだけ。。。まじ?

せめて、タイムアウトで異常が見つかり、介入をしたかしなかったかだけは追跡出来るようにした方がいい、と声高に何度か強調したが、ボスも担当の医師も、「うーん、もっとみんなで話し合った方がいいね」と重要性を理解していなかった。

現状では異常が見つかったかどうか、看護師がそれを記録したかどうかしか記録されない。感覚的に言って、20%の人にバイタルなどの異常が発見されたとして、そのうち90%以上は、「介入の必要なし」と医師が判断して終わりになる。

異常が発見されたかどうか、報告されたかどうかの数や率を見たところで、再入院率への影響など微々たるもののはずだ。

これでもし後になって、介入があった患者群での効果を見たい(そしてそれがタイムアウトの目的じゃないのか?)、となった時には、カルテレビューしか方法がなくなってしまう。

誰もやらないだろう。

タイムアウト自体は看護師が行うので、看護師に負担を強いているわけだが、もう少し責任を持って、段取りを考えてやらんのだろうか。

データを後々公表するつもりならせめて病院のQI委員会の承認は得ないとダメだと突っ込んだら、ボス曰く、病院のQIの方からこのプロジェクトをやってくれと言ってきたから承認は得られているはず、だそうだ。

プランも決まっていないのに承認するってどういうこと?

大学のメンドくさい研究の審査委員会とは別に、病院にQIプロジェクトを審査する機関があるのだが、通常のリサーチ同様、プランついてあらかじめ計画して承認をもらうのが普通だろうに。目的、データ、介入の3つだけ明確にするだけで良いところを介入しか決まっていない。

そしてQIは継続的に、データ集めて分析して問題点を見つけて修正する、のいわゆるPDSAサイクルを使うことが基本であるが、今のままではタイムアウトを実施することへの問題(看護師が忙しすぎるとか、医師の仕事が増えるとか、退院が無駄に延期されるとか)のみに始めの数ヶ月なり終始するだろう。

実際に、「どうやったらよりタイムアウトを効果的なものにするか」と「どうやったら効果判定をうまく出来るのか」という根本的なところに疑問を持ち分析するのは相当後になるだろう。

そしてその前に何も達成せずに終わるのだろう。

コメント

このブログの人気の投稿

同僚がよくお世話になっているCureusというオープンアクセス・ジャーナル

Cureusに毎月のように同僚がケースレポートを出している件 「俺、この数か月で7つケースレポート出版した」 という信じられない言葉を耳にした時も「いや無理でしょ」と思ったが 同期の(主に外国人医師)同僚に頼まれ、とりあえず「レビューアー」だけやってみることに。 サイトからアカウントを作って、すぐに登録は無料で簡単♪ (注:宣伝ではありません) どうやら、論文執筆するか、レビューするかでポイントがたまるらしい。 インパクトファクターはないからとりあえず 戦闘力 みたいなものをつけてるのかしら? 一番、驚きなのは同期の人曰く、論文を提出した人がレビューアーを3人くらいまで「 指定 」できること。 普通レビューアーを編集者に「提案」することはあっても、「指定」はできない。  そして、さらに3-4人ほど、編集者から関係ないレビューアーへ依頼が行くらしい。 (自分がファースト・オーサーで使うことはよほどのことがないと使わなそうなので、ほんとかどうかは知らないし、同僚のためにも調べないことにした) でも、6-7人がレビューするうち、 約半分はフレンドリーなコメントが来る ってことだと想像している🙊 早速、2件ほどケースレポートのレビューを丁寧にしたが 1つは、30か所以上コメントする始末。突っ込みどころ満載。この人からはレビューアー評価★5もらえたが。 1つは、15か所ほど指摘。 どちらも症例自体はよいんだけれど、こんなの世に出してる場合じゃない。さすがに、これからはレビューアーとしては敬遠されるかな。 最近初めてCureusで症例報告を出版した同僚が言っていた 「 2-3日で審査が終わって、指摘されたところをアップデートしたらアクセプト、そのままオンラインで出版された 」  え?6-7人の審査がそんなに早く終わったの? と聞いたところ 全くコメントせずに提出するレビューアーも中にはいるらしい😱 なるほど、確かにレビューもとても簡単で、オンラインで直接文章にメモとして書き込めるようになっており、「SUBMIT」を押して、最後の総括コメントいれて終わり だから、そういう人が出てくるのも致し方ないか? だからそんな多くのレビューアーにお願いするのだろうと想像している レビューも学術

KY(ケンタッキー)州ドライバーズライセンス(運転免許)を取得

さてさてどっぷり5月病にはまってしまい、日記を書くこともおざなりになってしまっている今日この頃 最近ケンタッキー州の運転免許を取得したので記録 NY州で取得した免許をWI州に移すときは書類提出だけで済んだと記憶しているが KY州はビザ持ちの場合、書類、筆記試験、路上試験と一からやり直さなくては免許が取れない。つまり、免許の移行というものができないらしい。 6月まで使っていた臨床トレーニング用Jビザは、一年ごとの更新のため、運転免許証もビザの期限に合わせて期限が1年になっているのがつらいところ。 7月に引っ越してすぐにWI州の免許が期限切れで使えなくなってしまうのだ   そのため6月に日本に一時帰国した際に、地元の運転免許センターで国際免許証を取得しておいた 期限は一年間で、これでケンタッキー州の運転免許をとるまで1年間の猶予が与えられることになる 元J2の妻は、NYにいたときに就労許可証を取得していた経緯があったので(結局働くことはなかったが)、ソーシャルセキュリティナンバーを持っており あとは、仕事の契約書か給与明細と、電気やガス代などのUtility関係の請求書さえあれば申請可能な状態だった   ガスかなにかの請求書に妻と自分の名前を併記してもらうようにお願いし まつこと、、、 2か月、ようやく請求書が手元に届き   市の運転免許センターらしきところへ 受付窓口に並んでいると、アメリカ国民でなければ違う窓口でまずは書類審査をうけろと言われた(入口入ってすぐにあるドアから入る) 同じ建物内の、違うドアから入り、狭い待合室で待たされたのち なにか書類を持たされ、通常の受付へと通された そのあとはしばらく待った後に、筆記試験を受けてその日は終了 筆記試験は、一問解くごとに正解不正解が分かるようになっており、親切だったが 当日の朝に、ネットで練習問題を一度見ただけの知識では結構難しい問題も普通にあった 僕らは国際免許証を持っていたためかLearner Permitというものはもらえなかった 帰り際に路上試験の予約をしようとしたが、次の週までの予約しかとっておらず 後日電話にて予約をとった(なかなか電話にでてくれず苦労した) ジョークのような 路上試験 路上試験当日、

アメリカで言語療法(スピーチセラピー)と作業療法(オキュペイショナルセラピー)を受けるべきか

アメリカの健診で、子供の言葉の遅れを指摘された。セラピーを受けるべきか? 自分の身に起こったことだが 、言葉が遅れているからセラピーを勧められても、一人目の子供だと特にどうしたらいいか分からない。 結論としては、「とりあえず受けてみる」べきだと思う。 その時はマンハッタンに住んでいたので、家では日本語、デイケアにも入れる余裕はなく(週2で月1000どる越えとか今でも無理)英語を話す子供との触れ合いも少なく、言葉が遅れるのは半ば必然の状況でもあった。 しかし、小児科の先生も「バイリンガルの環境だと遅れることはよくあります」と事情を汲んだうえでセラピーの評価だけでも勧められたので 言われたように州が運営するBirth to threeに連絡。スムーズに手続きが進み(聴覚検査はやらされたか)、最初の言語聴覚士評価 に向かった。 若い言語聴覚士の人があの手この手で一緒に遊んでくれ、言葉を引き出していた。 こんな方法があったのか! といろいろな発見や学びがあったのに驚いた。普段遊んでいても出さないような音を真似して発していた。  そして評価が終わってセッションが始まる前にWI州に引っ越し WI州のBirth to threeの評価をまた受けるのであった。 各州に3歳未満のためのBirth to threeプログラム、3歳以上は各学区(スクールディストリクト)が運営するプログラムがあるはずだが(義務らしい)、それぞれシステム、プログラム、費用負担が違うので確認が必要   有効かどうか見極めるためにもまずは連絡をとることから始めるべき そして、パブリックのサービスがうまく都合にあわなければぷプライベートのセラピークリニックをプライマリケアから紹介してもらうことも可能である。   アメリカの子供の発達支援のシステムとクオリティは日本よりもだいぶ個別化されており良質である(と感じる)  日本でセラピーを受けたことはないので完全な比較はできない。保健師として地域母子保健を仕事にしていた妻から聞くに、日本では、例えば1歳半健診は、多くの子供を一堂に集めて一気にスクリーニングする。効率とコストの面では圧倒的に優れているこのシステム、裏を返すとすごく「雑!」なシステム。 子供一人一人に向ける時間と労力がと