スキップしてメイン コンテンツに移動

久しぶりにQI。より良い医療のため、EPICをいじる

医療の質を改善するQuality Improvement(QI)を学ぶこともフェローシップ中の目標であり、現在自分のボスが毎年開催している半年間のFaculty Scholar Program in Patient Safety AND Quality Improvementコースにも参加させてもらっている。

このコースの唯一気に入らないところは、(またも、、、)事務方のサポートの薄さである。

月一なので、誰かが受講者の進み具合やこれからの日程などを定期的にチェックしないと学習効果が減ってしまうと実感を持って感じるのだが、そこのサポートはない。

ボス自身は忙殺されているのを知っているので、せめてボスの秘書が1週間なり2週間くらい前になってきたら、次の回の予告・リマインダーメールを送ってくれればそれだけで大分助かるのだが

これまでは、日程が決まった段階でメールがきて、あとは3日前とか前日とかの直前にメールが来たり来なかったり。

しかも、通常事務方はミーティングなどの予定は必ず「招待」メールとして各自にメールすべきなのに、なぜかこのコースだけは一度もやってくれない。

招待メールとしてメールを送ると、招待を却下しない限り受取人たちのスケジュールに自動的に組み込まれ、間違ってダブルブッキングすることがなくなるのだ

自分にもフェローシップコーディネーターがいて(フェロー一人しかいないけれど掛け持ちでやってくれてる)、その人が勝手にティーチングやらミーティングをぶっこんでくるので、招待メールで予定を送って来ないことは結構気になる。

おかげで、10月の1回目の回をすっぽかしたのは記憶に新しい。

コースでは自分でQIプロジェクトを立ち上げ進めなければいけないのだが、すっぽかしたおかげで丸1ヶ月棒に振ることになった。

そして11月末にようやく初めての出席。

12月末はクリスマスのため、各自メンターとあって自分のプロジェクトについて議論するのと、いつもどおり大量の宿題があっただけだった。

この12月のメンターとのミーティングや、1月分のアナウンスなど、一切フォローされていないので、自分自身、このQIプロジェクトは優先順位が常に後になりがちであった。

しかし、そんな中でも少しずつメールで関係者に連絡を取りつつ、ようやくEPIC(電子カルテ)に仕掛けを組み込む変更を加えるための手続きのスタートラインに立った。

手続き的には

・トピックを見つける(せん妄予防QI委員会に首を突っ込んでいるので、今回はせん妄リスクの高い患者に、メラトニンをオーダーしてほしい。ゾルピデムのようなせん妄誘発しかねない薬物を不用意に投与しないでほしいという内容)
・科の中の担当者を見つける(科のEPICチャンピオンの先生と、実際にEPIC変更の手続きに精通した先生を紹介された)
・その人たちからの意見を仰ぐ

ここでは科全体のグループインプットを取った方がいいと言われ、メールにて簡単なアンケートを取ってもらった。
(1)Best Practice Alert:高リスクの条件を満たす患者のカルテを開くと、EPICがこの人高リスクだからこのオーダーセットを見てね、という案内がでる
(2)(1)に加えて、PopUp Alert:高リスクの患者に指定したせん妄誘発剤をオーダーしようとした場合、リスキーだよ警告が出る。その警告に、代替薬としてメラトニンのチェックボックスを用意しておく。これはオンコールの人が夜中「患者さんが眠り薬出してほしいと言っています」と言われた時に、知らずにZolpidemなんかをオーダーするのを防ぐ。
そして(3)その他のご意見

結局、(2)の意見が多かったようなので、それで行くことになった。

これから、具体的にどんなオーダーセットにするのか、どの薬をpop-up警告の対象にするのか、文章はどうするか、を決定したのち、正式に病院の担当部門に申請書を送るらしい。

すでに2ヶ月半以上経ってしまっているので、出遅れた感は相当否めないが、せめて、コースが終わるまでにEPICの変更をして、前後のデータを取り始めるところまでは進めたい。

せめて申請書を出すまでは自分の努力次第でスピードアップできそう。ただ、このQIのリーダーの先生は若き精神科教授だが、EPICをいじった経験がないらしくあまり乗り気な感じを受けない。

ここまでくるのにも、まずはアイデアを伝えることから始め、興味を引き出すことから地道に始めたものだ。でもそもそも「ほとんどのせん妄予防の介入は医者なしでもできているけれど、どうやったら医者にせん妄予防推奨にあった薬物投与をさせられるのか?」と尋ねてきたのは彼の方で、「タネを蒔いたのは自分だろう、もう遅い」とこっちは思っているので、行き着くところまでやらせてもらおう。

どうなることやら。

コメント

このブログの人気の投稿

同僚がよくお世話になっているCureusというオープンアクセス・ジャーナル

Cureusに毎月のように同僚がケースレポートを出している件 「俺、この数か月で7つケースレポート出版した」 という信じられない言葉を耳にした時も「いや無理でしょ」と思ったが 同期の(主に外国人医師)同僚に頼まれ、とりあえず「レビューアー」だけやってみることに。 サイトからアカウントを作って、すぐに登録は無料で簡単♪ (注:宣伝ではありません) どうやら、論文執筆するか、レビューするかでポイントがたまるらしい。 インパクトファクターはないからとりあえず 戦闘力 みたいなものをつけてるのかしら? 一番、驚きなのは同期の人曰く、論文を提出した人がレビューアーを3人くらいまで「 指定 」できること。 普通レビューアーを編集者に「提案」することはあっても、「指定」はできない。  そして、さらに3-4人ほど、編集者から関係ないレビューアーへ依頼が行くらしい。 (自分がファースト・オーサーで使うことはよほどのことがないと使わなそうなので、ほんとかどうかは知らないし、同僚のためにも調べないことにした) でも、6-7人がレビューするうち、 約半分はフレンドリーなコメントが来る ってことだと想像している🙊 早速、2件ほどケースレポートのレビューを丁寧にしたが 1つは、30か所以上コメントする始末。突っ込みどころ満載。この人からはレビューアー評価★5もらえたが。 1つは、15か所ほど指摘。 どちらも症例自体はよいんだけれど、こんなの世に出してる場合じゃない。さすがに、これからはレビューアーとしては敬遠されるかな。 最近初めてCureusで症例報告を出版した同僚が言っていた 「 2-3日で審査が終わって、指摘されたところをアップデートしたらアクセプト、そのままオンラインで出版された 」  え?6-7人の審査がそんなに早く終わったの? と聞いたところ 全くコメントせずに提出するレビューアーも中にはいるらしい😱 なるほど、確かにレビューもとても簡単で、オンラインで直接文章にメモとして書き込めるようになっており、「SUBMIT」を押して、最後の総括コメントいれて終わり だから、そういう人が出てくるのも致し方ないか? だからそんな多くのレビューアーにお願いするのだろうと想像している レビューも学術

KY(ケンタッキー)州ドライバーズライセンス(運転免許)を取得

さてさてどっぷり5月病にはまってしまい、日記を書くこともおざなりになってしまっている今日この頃 最近ケンタッキー州の運転免許を取得したので記録 NY州で取得した免許をWI州に移すときは書類提出だけで済んだと記憶しているが KY州はビザ持ちの場合、書類、筆記試験、路上試験と一からやり直さなくては免許が取れない。つまり、免許の移行というものができないらしい。 6月まで使っていた臨床トレーニング用Jビザは、一年ごとの更新のため、運転免許証もビザの期限に合わせて期限が1年になっているのがつらいところ。 7月に引っ越してすぐにWI州の免許が期限切れで使えなくなってしまうのだ   そのため6月に日本に一時帰国した際に、地元の運転免許センターで国際免許証を取得しておいた 期限は一年間で、これでケンタッキー州の運転免許をとるまで1年間の猶予が与えられることになる 元J2の妻は、NYにいたときに就労許可証を取得していた経緯があったので(結局働くことはなかったが)、ソーシャルセキュリティナンバーを持っており あとは、仕事の契約書か給与明細と、電気やガス代などのUtility関係の請求書さえあれば申請可能な状態だった   ガスかなにかの請求書に妻と自分の名前を併記してもらうようにお願いし まつこと、、、 2か月、ようやく請求書が手元に届き   市の運転免許センターらしきところへ 受付窓口に並んでいると、アメリカ国民でなければ違う窓口でまずは書類審査をうけろと言われた(入口入ってすぐにあるドアから入る) 同じ建物内の、違うドアから入り、狭い待合室で待たされたのち なにか書類を持たされ、通常の受付へと通された そのあとはしばらく待った後に、筆記試験を受けてその日は終了 筆記試験は、一問解くごとに正解不正解が分かるようになっており、親切だったが 当日の朝に、ネットで練習問題を一度見ただけの知識では結構難しい問題も普通にあった 僕らは国際免許証を持っていたためかLearner Permitというものはもらえなかった 帰り際に路上試験の予約をしようとしたが、次の週までの予約しかとっておらず 後日電話にて予約をとった(なかなか電話にでてくれず苦労した) ジョークのような 路上試験 路上試験当日、

アメリカで言語療法(スピーチセラピー)と作業療法(オキュペイショナルセラピー)を受けるべきか

アメリカの健診で、子供の言葉の遅れを指摘された。セラピーを受けるべきか? 自分の身に起こったことだが 、言葉が遅れているからセラピーを勧められても、一人目の子供だと特にどうしたらいいか分からない。 結論としては、「とりあえず受けてみる」べきだと思う。 その時はマンハッタンに住んでいたので、家では日本語、デイケアにも入れる余裕はなく(週2で月1000どる越えとか今でも無理)英語を話す子供との触れ合いも少なく、言葉が遅れるのは半ば必然の状況でもあった。 しかし、小児科の先生も「バイリンガルの環境だと遅れることはよくあります」と事情を汲んだうえでセラピーの評価だけでも勧められたので 言われたように州が運営するBirth to threeに連絡。スムーズに手続きが進み(聴覚検査はやらされたか)、最初の言語聴覚士評価 に向かった。 若い言語聴覚士の人があの手この手で一緒に遊んでくれ、言葉を引き出していた。 こんな方法があったのか! といろいろな発見や学びがあったのに驚いた。普段遊んでいても出さないような音を真似して発していた。  そして評価が終わってセッションが始まる前にWI州に引っ越し WI州のBirth to threeの評価をまた受けるのであった。 各州に3歳未満のためのBirth to threeプログラム、3歳以上は各学区(スクールディストリクト)が運営するプログラムがあるはずだが(義務らしい)、それぞれシステム、プログラム、費用負担が違うので確認が必要   有効かどうか見極めるためにもまずは連絡をとることから始めるべき そして、パブリックのサービスがうまく都合にあわなければぷプライベートのセラピークリニックをプライマリケアから紹介してもらうことも可能である。   アメリカの子供の発達支援のシステムとクオリティは日本よりもだいぶ個別化されており良質である(と感じる)  日本でセラピーを受けたことはないので完全な比較はできない。保健師として地域母子保健を仕事にしていた妻から聞くに、日本では、例えば1歳半健診は、多くの子供を一堂に集めて一気にスクリーニングする。効率とコストの面では圧倒的に優れているこのシステム、裏を返すとすごく「雑!」なシステム。 子供一人一人に向ける時間と労力がと